ベルベットとは、生地の表面に短い毛足(パイル)がびっしりと立った織物のことです。日本語では「天鵞絨(ビロード)」とも呼ばれます。指を滑らせるとしっとりと吸いつくような手ざわり、そして光の角度によって深く艶めく独特の光沢——古くから王侯貴族に愛され、今もホテルや劇場の空間を彩る、贅沢の代名詞のような生地です。

この記事では、ベルベットの魅力の仕組み、よく混同されるベロアやスエードとの違い、そしてお手入れの基本まで、インテリア専門店の視点で解説します。

ベルベットの光沢はなぜ特別なのか

光を受けて艶めくベルベット生地のドレープ

ベルベットの光沢の秘密は、無数に立った毛足にあります。毛足が光を受け止める角度によって、深い陰影になったり、艶やかに輝いたり——同じ生地なのに、見る角度や照明で表情が一変します。夜、間接照明の下でもっとも美しくなる生地とも言われ、ホテルライクな空間づくりに欠かせない理由がここにあります。

ベルベットは中世以来、ヨーロッパの宮廷文化とともに発展してきました。なかでもヴェネツィアは高級ベルベットの産地として名高く、当店で取り扱うルベリ(Rubelli)はその伝統を今に受け継ぐメゾンです。

ベロア・スエードとの違い

ベルベットとベロアとスエード調生地の質感比較

よく混同される3つの素材は、作り方がそれぞれ違います。

ベルベットは、経糸(たていと)でパイルを立てて作る「織物」。もっとも格式のある製法です。よく似た別珍(べっちん)は、緯糸(よこいと)でパイルを作る織物で、ベルベットより毛足が短くマットな質感になります。

ベロアは実は範囲の広い言葉で、世界的にも厳密な定義がありません。日本では一般に、伸縮性のある編み物(ニット)のパイル生地を指し、ややカジュアルで柔らかな印象になります。スエード(スエード調)は本来は革の起毛のことで、生地の場合は表面を起毛させたスエードタッチの織物を指します。マットで温かみのある質感が持ち味です。

見分けるポイントは光沢の質です。ベルベットは深く艶やか、ベロアは柔らかな光沢、スエード調はマット。どれが上というより、空間の狙いで選ぶのが正解です——華やかさならベルベット、気軽な柔らかさならベロア、落ち着きならスエード調。

ジャカードベルベット——織りと毛足の共演

ジャカードベルベットのクッション

ベルベットの毛足に、織りで柄を浮かび上がらせたのがジャカードベルベット。光を受けるたびに柄が現れては沈む、当店でも特に人気の高い技法です。詳しくはジャカード織とは?の記事で解説しています。

お手入れの基本

ベルベットの美しさは毛並みで決まります。日常のお手入れは、毛並みに沿って柔らかいブラシを軽くかけ、ほこりを払う程度で十分です。長時間同じ場所に重い物を置くと圧痕(毛の倒れ)が付くことがあるので、クッションならときどき位置を変え、ふっくらと形を整えてあげてください。洗濯可否は素材により異なるため、各商品ページの表記をご確認ください。

よくあるご質問

Q. ベルベットのクッションは夏でも使えますか?
A. はい。近年のレーヨンやポリエステル混のベルベットは薄手で軽やかなものも多く、通年お使いいただけます。季節で色を替えると、夏は涼しげに、冬は温かみのある演出ができます。

Q. ベルベットとビロードは同じものですか?
A. はい、同じものです。ビロードはポルトガル語由来の古くからの日本語名で、ベルベットは英語名です。

この記事は、2013年創業・東京南麻布のインテリア専門店 HOUSE OF JAPAN が執筆しています。ホテルや商業施設へのソフトファニシング納品の経験をもとに、生地選びの視点をお伝えしました。