海外ドラマや高級ホテルのインテリアで、ベッドの上にたくさんのおしゃれな枕やクッションが並べられているシーンをよく目にしますよね。これらのクッションや枕は、実用性だけでなく、空間を美しく演出するための重要なアイテムとしても活用されています。特に海外では、こうしたアイテムは「デコラティブピロー(Decorative Pillow)」と呼ばれ、単なる寝具の一部という枠を超えて、インテリア全体のデザインを高める役割を果たしています。

デコラティブピローは、形や色、素材の組み合わせを工夫することで、空間に立体感を与えたり、アクセントを加えたりするのに最適です。たとえば、無地のベッドカバーに異なるテクスチャやパターンのクッションを組み合わせると、まるで絵画のようにお部屋全体を華やかに飾ることができます。さらに、クッションを重ねたり配置を工夫したりすることで、シンプルな空間に奥行きや動きを加えることも可能です。

このように、クッションは実用性を兼ね備えながら、空間の印象を変えるための優れたインテリアアイテムとして広く親しまれています。ベッドの上を自分らしいスタイルで彩り、ホテルライクなラグジュアリー感や海外ドラマのような洗練された雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?

「ベッドの上にあんなにたくさんクッションを置いて、邪魔にならないのかしら?」とか、「寝るときにあのクッションたちはどうするの?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、ホテルや海外のインテリアでよく見られるこのクッションの飾り方には、しっかりとした理由があるのです。ただおしゃれなだけでなく、機能性や空間の演出においても重要な役割を果たしています。

海外では、ベッドは単なる寝る場所ではなく、リラックスしたり、読書をしたり、時には軽く仕事をしたりと、1日の中で長い時間を過ごす特別な空間として考えられています。
そのため、見た目の美しさだけでなく、快適さや心地よさを追求するのが一般的です。
そして、この「たくさんのクッションたち」がその快適さを作り出すためのキーアイテムとなっています。
クッションは、リラックスした姿勢をサポートするだけでなく、空間に彩りや深みを加えるインテリア要素としても活用されています。

こちらのコラムでは、海外の洗練されたベッドルームにインスパイアされたクッションの使い方をご紹介します。
「どうしてたくさんのクッションを飾るの?」
「どのように配置すれば美しく見えるの?」など、
気になるポイントを分かりやすく解説。クッションを上手に活用して、まるで海外ホテルのようなラグジュアリーでおしゃれなベッドルームを作るためのヒントをお届けします。
お部屋全体の雰囲気がぐっと洗練されるコツをぜひ参考にしてみてください!

 

ベッドの上にたくさんのクッションを置くのはなぜ

ベッドの上にクッションをたくさん置く理由として、歴史的に2つの側面が挙げられます。

1つ目は、19世紀以前のヨーロッパにおける寝室の役割に由来します。現代では寝室は完全にプライベートな空間として認識されていますが、当時の王侯貴族にとって、寝室は単に休息を取る場所ではなく、社会的・儀式的な場としての役割も果たしていました。
たとえば、フランスのヴェルサイユ宮殿では、結婚の儀式が寝室で執り行われることがありました。映画『マリー・アントワネット』のシーンでも描かれているように、神父や国王、その他の参列者がベッドの周囲に集まり、新郎新婦の結婚を祝福するという形式が一般的でした。このような儀式的な用途は王侯貴族に限らず、当時の一般市民の間でも結婚の際に行われていたとされています。

寝室がこのような公的な場として用いられていた背景には、装飾が大きな役割を果たしていました。豪華な天蓋、繊細な刺繍を施したファブリック、そして装飾用のクッションがふんだんに使用され、寝室はその家の富や権威、洗練された趣味を象徴する空間となっていました。寝室を美しく整えることは、その家の権力や知的なセンスを示す手段だったのです。

また、このような豪華な装飾の文化は、王侯貴族だけでなく、一般市民にも影響を与えました。貴族の華やかな生活を模倣することで、一般の人々も自分たちの家をより洗練された空間に仕立て上げようとしました。クッションや天蓋といった装飾アイテムは、その象徴的な要素の一つであり、寝室を豪華に彩る習慣が庶民の間にも広がっていきました。

また、当時の社会では、建物や窓の装飾がその家の権力や財産の象徴とされていました。同じように、寝室の装飾もその家庭の地位を示す重要な要素と考えられていたのです。クッションや高級な生地を使った装飾が豊かさや権威を象徴する手段となり、寝室における美的価値が一層重視されるようになったのです。

このように、たくさんのクッションをベッドに配置するという文化には、単なる装飾以上の意味が込められています。それは歴史的な背景を反映しながら、空間を美しく飾るための習慣として、現代に至るまで受け継がれているのです。

もう1つの理由としてよく挙げられるのが、西洋と日本における生活スタイルの違いです。特に注目すべきなのは、西洋では「室内で靴を履いたまま生活する」という文化です。

日本では、家に入る際に靴を脱ぐことが一般的であり、フローリングや畳の床に直接座ったり、寝そべったりしてくつろぐことができます。このため、フロアクッションや座布団といった床に直接置けるアイテムが多く活用されています。一方で、西洋の多くの国では、基本的に室内でも靴を履いたままの生活が主流であり、この文化の違いがインテリアスタイルに大きく影響を与えています。

西洋では、リビングでのくつろぎ方は主にソファを中心に行われ、自分の部屋ではベッドがくつろぎの中心となります。このため、ベッドは単なる寝るための場所という役割を超え、日中にもリラックスできる居場所として重要視されているのです。ベッドの上にクッションを多く配置するのは、ベッドを快適で多機能なスペースとして活用するための工夫でもあります。背もたれとして使ったり、抱きかかえたり、体勢を調整したりと、複数のクッションがあることで多様な用途に応じた快適さを提供します。

最近では、コロナ禍を経て西洋の人々の間でも、室内で靴を脱ぐスタイルが徐々に増えてきたと言われています。しかし、それでもなお、多くの人々にとって「床に座る」文化はなじみが薄く、日常的なリラックスの場は引き続きソファやベッドが中心です。これが、ベッドの上にたくさんのクッションを配置する文化的な背景のひとつと考えられています。

このように、クッションは単なる装飾アイテムであるだけでなく、西洋の生活スタイルにおける快適さと機能性を追求した結果として、インテリアの一部として欠かせない存在になっているのです。

さらに、西洋のライフスタイルでは、ベッドの上で本を読んだり、テレビを観たり、さらには軽食を取ることも珍しくありません。日本では「ベッドで食事をするなんて!」と行儀が悪いと叱られそうですが、西洋ではベッドが単なる寝具ではなく、リラックスやくつろぎのための多目的スペースとして活用されています。

映画やドラマのワンシーンでも、友人たちがベッドの上で靴を履いたまま楽しくお喋りしている様子が描かれていることがあります。こうした生活スタイルでは、ベッド上での快適さを確保するために、たくさんのクッションが欠かせないアイテムとなっています。

背もたれとして使える大きなクッションは、ベッドのヘッドボード代わりに体を支えてくれますし、小さめのクッションは、体勢を整えたり、抱きかかえてリラックスするのに便利です。さらに、寝るときにはこれらのクッションを抱き枕として使うこともあり、単なる装飾品ではなく、実用的な役割も果たしています。

こうしたクッションの多様な使い方は、西洋独特のベッドルーム文化を支える重要な要素のひとつと言えるでしょう。日常生活における快適さと自由なスタイルを重視する文化が、ベッドの上をリラックス空間として最大限に活用する工夫を生み出しているのです。

眠るときは邪魔になるけど、どうするの?

夜、眠る前のベッドルームでは、使用済みのベッドカバーやフットスロー、そして不要になったクッションを片付けるのが一般的です。それらは椅子やオットマン、籠などにきちんと置く人もいれば、床に無造作に置いてしまう人もいるようです。そして眠る準備としてパジャマに着替え、清潔なピローカバーをかけた枕に顔をうずめて就寝します。この「眠る用の枕」は、日中は重ねたクッションの一番下に隠したり、ベッドカバーの中に収納しておくのが一般的です。

ベッドを使わない時間帯には、デコラティブピローをおしゃれに配置して、部屋全体のインテリアを引き立たせる役割を持たせることがおすすめです。これにより、ベッドは単なる寝具ではなく、部屋の中心的なデザイン要素として機能します。

朝起きた後、ベッドメイキングをする際に、お気に入りのクッションを美しく配置することで、整然とした空間を作り出し、一日のスタートを爽やかに迎えることができます。部屋を美しく整えるこの習慣は、ただ空間を快適にするだけでなく、日々の生活に充実感と豊かさをもたらしてくれるはずです。

日常の小さな工夫や習慣が、人生そのものを有意義で洗練されたものへと変えてくれるのではないでしょうか。お気に入りのクッションたちを日々の生活に取り入れながら、理想的な空間づくりを楽しんでみてください。

ベッド上のクッションをお洒落に素敵に飾るには?

現代のインテリアスタイルには決まりがなく、何より大切なのは、自分が心地よく過ごせる空間を作ることです。お気に入りのデコラティブピローを自由に組み合わせて、自分らしいコーディネートを楽しんでみてください。

ピローの配置方法には主に2つのスタイルがあります。1つ目は「スタッキング」と呼ばれる方法で、ピローを寝かせたまま上に重ねていくスタイルです。もう1つは「スタンディング」と呼ばれる方法で、ピローを立てかけて後ろから前へ順に並べていくスタイルです。どちらの方法でも、ヘッドボードに近い後方には大きめのピローを置き、前方に向かって徐々に小さなピローを配置すると、全体のバランスが美しく整います。

機能性を重視するピローや背もたれとして使うピローは、後ろや下側に配置し、アクセントとして目を引く色や形、柄のピローは手前に置くと、空間が引き締まり、スタイリッシュに見えます。

実際に素敵にデコレートされた例を写真でご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。自由な発想で、おしゃれで快適な空間を演出してみましょう!

 まずは私達が納品させて頂いたホテルの例です。

WE Hotel Toya(北海道・洞爺湖)

キンプトン 新宿東京

海外のお洒落なベッドメイキングクッション

色味のグラデーションを合わせて、ポイントは壁の色と手前のクッションの深いネイビー色で空間がしまり引き立ちます

 
色のグラデーションを意識してコーディネートすると、統一感のある落ち着いた空間が生まれます。特に、壁の色と手前に置いたクッションの深いネイビーを組み合わせることで、全体の印象が引き締まり、他のアイテムが際立つ効果も得られます。


ブルーグリーンの色調を基調に、スカイブルーとクリーム色をアクセントに加えることで、爽やかで軽やかな印象を演出しています。デュベやスローのカラーもクッションと統一することで、全体にまとまりのある洗練された空間に仕上がっています。


同じブランドのかすれた花柄模様を、壁紙、ベッドカバー、クッションで統一し、調和の取れたエレガントな空間を演出しています。さらに、シャープな印象をプラスするために、同じ染料パレットで染め上げられたボルスターとベッドカバーの裏地に使用されたライトグレーがアクセントとなり、全体のデザインを引き締めています。


クールでシックな空間を演出するには、大きなクッションとペアになったブラックのクッションがおすすめです。ブラックのクッションは、トレンド感のあるインテリアやソファをさらに洗練された印象に仕上げてくれます。スタイリッシュでモダンな雰囲気を楽しみたい方にぴったりのアイテムです。


オレンジとベージュを基調に、ブリックカラーをアクセントとして加えたコーディネートは、色の美しさや楽しさが無造作な雰囲気の中にも際立ちます。暖かみのある配色が空間を柔らかく彩り、リラックス感のあるスタイルを演出します。


こちらはスタンディングスタイルで配置された例です。クッションを後ろから前に向かって徐々に小さく並べることで、全体のバランスが美しく整っています。


セッティングにルールはありません。自分の好みや使いやすさを優先して、日常の空間を心地よく演出しましょう。この例では、壁の色とクッションの色味をリンクさせることで、全体に統一感を持たせています。


鮮やかなスカイブルーのクッションとベッドスプレッドを取り入れるだけで、印象的な模様替えが実現し、気分も一新されます。


柔らかなアーストーンを基調に、大胆な柄でヘッドボードやベッドスカートを際立たせました。クッションは彩度を揃えてコーディネートすることで、全体の統一感を保ちながら、スタイリッシュさを引き立てます。


シンプルで洗練されたベッドルームには、無造作に並べた天然素材のクッションをいくつか配置して、ナチュラルで落ち着いた雰囲気を演出してみてください。


スタッキングスタイルのクッションを手前に配置し、後ろにはスタンディングスタイルでクッションを立てかけます。花柄のデザインをカーテンと組み合わせてコーディネートします。


ベッドの上に、お好みのテキスタイルのクッションを加えて、ミックス&マッチでコーディネートを楽しんでください。自分らしいスタイルがさらに引き立ち、個性が倍増します。


こちらもスタッキングとスタンディングを組み合わせたクッションのセッティングです。ウィリアム・モリスのテキスタイルから1色を取り入れ、ブリック色のフリルクッションをアクセントとして加えています。


ウィリアム・モリスのライトトーンのファブリックを使用することで、明るく柔らかな印象を作り出します。ライトトーンでのコーディネートは、異なる柄を組み合わせても調和が取れ、うまくマッチさせることができます。


天井が高く広い空間では、濃い色や複雑な柄、そして重厚感のある質感のクッションをアクセントとして取り入れることで、空間が一層上品で洗練された雰囲気に仕上がります。

 

いかがでしたでしょうか?
当店では、多種多様なテイストやサイズのクッションを幅広く取り揃えています。シンプルで落ち着いたデザインから個性あふれる大胆なものまで、きっとお客様のイメージにぴったりのクッションが見つかるはずです。

色や形、素材の組み合わせ次第で、ベッドルームの雰囲気を一新し、より洗練された空間を演出することができます。たとえば、落ち着いたモノトーンでまとめるもよし、差し色を加えてアクセントを効かせるもよし。素材感を活かして、温かみや高級感をプラスするのも素敵ですね。

ぜひ当店のクッションを活用して、自分らしさを表現できるスタイリッシュで快適なベッドルームを完成させてみてください。お部屋が美しく整うと、毎日の暮らしもより豊かで心地よいものになることでしょう!