ジャカード織(ジャガード織)とは、柄をプリントで載せるのではなく、糸の織り方そのもので柄を表現した織物のことです。経糸(たていと)を一本単位で操ることで、花柄や幾何学模様のような複雑な絵柄を、生地の構造として織り出します。クッションやカーテン、ソファ張地など、上質なインテリアファブリックの多くはこのジャカード織で作られています。
この記事では、ジャカード織の名前の由来、プリント生地との違い、そしてジャカードベルベットや西陣織との関係まで、インテリア専門店の視点で解説します。
ジャカード織の由来——コンピュータの祖先だった織機

名前の由来は、19世紀初頭にフランス・リヨンの発明家ジョゼフ・マリー・ジャカールが発表した「ジャカード織機」。穴の開いたカード(パンチカード)で経糸の上げ下げを自動制御するこの発明により、それまで熟練職人が何人がかりで織っていた複雑な紋様を、機械で織れるようになりました。
このパンチカードの仕組みは、のちの計算機——つまり現代のコンピュータの原型のひとつになったと言われています。美しい織物を生むための発明が、情報技術の歴史にも名を残しているのです。ジャカード織機は明治時代に日本にも伝わり、京都・西陣の織物を大きく発展させました。
プリント生地との違い

プリントは、白い生地の上に後から色を印刷する方法。ジャカード織は、色の異なる糸で柄を「構造ごと」織り上げる方法です。この違いが、3つの魅力を生みます。
第一に立体感と陰影。織りの高低差が光を受けて複雑な表情を作り、見る角度や時間帯によって印象が変わります。第二に深みのある発色。染めた糸そのものの色なので、色に奥行きが生まれます。第三に柄が消えないこと。柄は生地の構造そのものなので、プリントのように擦れて剥げる心配がありません。
一方、写真のように精緻な多色のグラフィックはデジタルプリントが得意とする領域です。どちらが上ということではなく、質感の深みを求めるならジャカード、絵画的な表現ならプリント、と使い分けるのが正解です。
ジャカードベルベットという贅沢


当店のクッションで特に人気が高いのが、ジャカード織とベルベットを組み合わせたジャカードベルベットです。ベルベットの艶やかな毛足に織りの柄が浮かび上がり、光を受けるたびに柄が現れては沈む——平面的な生地では出せない、劇場のような豪華さがあります。マオリタトゥー柄やフランス製のシャルロットなど、当店の売れ筋クッションの多くがこの技法です。
西陣織もジャカードの仲間

京都の西陣織も、紋様を織りで表現する織物です。金糸や銀糸を織り込み、平安絵巻や名所風景を立体的に織り出す技術は、世界のジャカード文化の中でも独自の高みにあります。当店では西陣織のクッションもお作りしており、和モダンな空間や海外の方への贈り物として人気です。
よくあるご質問
Q. ジャカードとジャガード、どちらが正しいですか?
A. どちらも同じものを指します。発明者ジャカール(Jacquard)の読み方の違いで、当店では商品により両方の表記を使っています。
Q. ジャカード織のクッションはお手入れが難しいですか?
A. 素材により異なります。各商品ページのお手入れ表記をご確認ください。日常は軽くブラッシングやはたきでほこりを払う程度で美しさを保てます。
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この記事は、2013年創業・東京南麻布のインテリア専門店 HOUSE OF JAPAN が執筆しています。ホテルや商業施設へのソフトファニシング納品の経験をもとに、生地選びの視点をお伝えしました。













